配偶者の浮気調査を依頼した30代男性の田中祐二さん(仮名)に、調査を依頼するまでの経緯、調査中や調査後に体験したこと、調査を終えての感想などをうかがいました。
SECTION1
浮気を疑い始めたきっかけ
年齢は30代、職業は自営業です。
結婚10年目で、妻は専業主婦です。子供が二人います。上の子が小学校低学年、下の子が幼稚園です。
妻の外出が増え、帰宅が遅くなることが続きました。
こうしたことから、少しずつ「おかしい」と感じるようになりました。
たまたま見つけた浮気調査会社に電話すると‥‥
いいえ。絶対に浮気しているという証拠がない限り、妻を問い詰める気にはなれませんでした。
証拠もなくむやみに人を疑うことは、私の倫理感に反します。仮に証拠がない時点で妻を問い詰めたとしても、はぐらかされるだけだったでしょう。
いいえ。誰にも相談できず、一人で悩み続けました。
1ヶ月近く一人で悩んだ頃、たまたまある浮気調査会社の看板が目にとまり、そこに書いてあった番号に電話してみたことがありました。
浮気調査を依頼しようと決めたわけではなく、一人で悩んでいるのが辛くて、とにかく自分以外の誰かに話を聞いてほしかったのです。
女性の相談員が電話に出ました。状況を簡単に説明すると、その相談員は「奥さんは100%浮気してますね」と断定しました。
参考までに調査費用を尋ねると、とても私が払えるような金額ではありませんでした。そこで「またお願いするときは電話します」と言って、電話を切りました。
渚探偵事務所を知ったきっかけ
「奥さんは100%浮気してますね」と調査会社の相談員に断定され、私はかなり落ち込みました。「私の勘違いであってほしい」という希望も、まだどこかで持っていましたから。
一人で悩んでいると、どうしようもなく辛くなってきました。それで情けないのですが、身内で一番信頼している妹に、思い切って相談してみました。
すると妹が、「私の知り合いに、調査会社を使って、奥さんの素行調査をしたことがある男性がいる。その調査会社が、とてもよかったらしい」と言うのです。
その場で妹からその男性に電話を掛けてもらい教えてもらいました。
調査に掛かったおよその金額も、その男性に教えてもらいました。最初に私が問い合わせた浮気調査会社よりも、はるかに安い金額でした。
次の日には自分で電話番号を調べ、電話しました。
高橋さんという女性の相談員の方が電話に出ました。
高橋さんは時間をかけてこちらの状況を聞き、質問に答えてくれました。
その時点では、まだ調査を依頼する決心がついていませんでした。しかし高橋さんに詳しく話を聞いてもらいたいという気持ちが強くなり、その場で、訪問しての相談を予約しました。
最初に私が電話した浮気調査会社の相談員からは、非常に事務的な印象を受けました。マニュアルに書かれた質問事項を、そのまま聞いてくるような感じだったのです。調査費用を尋ねたときも、かなりアバウトな金額を言うだけでした。
高橋さんには、うまく言えないのですが、「この人になら何でも打ち明けられる」と思えるような心地よさを感じました。
渚探偵事務所を訪問して
相談員の高橋さんに、妻の様子などを詳しく聞いていただきました。
高橋さんは、過去のさまざまな実例を挙げながら、妻と相手の男が今どういう状況にあると推測されるのか教えてくれました。
また、浮気調査を依頼する前に考えておく必要があることや、知っておく必要があることも、丁寧にアドバイスしてくれました。
その頃の私は、悩みから来るストレスで、肉体的にも精神的にも、相当追いつめられた状態でした。しかし高橋さんに相談できたことで、気持ちがだいぶ楽になりました。
結果として妻の浮気が明らかになった場合、私がどうしたいのか。その点を、事前によく考えておかなければならないとアドバイスされました。
高橋さんに自分の気持ちを話すことで、結局自分が何を望んでいるのかを、少しずつ整理していくことができました。
また、たとえ自分が望んでいても、実際には不可能なことがあることも教えてもらいました。
妻が浮気をしていることが明らかになれば、私は絶対に離婚するつもりでした。子供の親権も、妻には絶対渡さないつもりでした。しかし離婚することになった場合、たとえ妻の側に不貞行為があったとしても、夫が親権を取ることは難しいと高橋さんから教わり、ショックを受けました。父親が一人で子供を育てていくことの難しさについても、高橋さんから教えていただきました。
いいえ。1回目の訪問では、調査を依頼しませんでした。私がまだ決意を固めきれなかったからです。
料金表や、高橋さんが書いた小冊子『笑える離婚』などをいただいて、その日は帰りました。
高橋さんが書いた小冊子『笑える離婚』は、帰りの電車の中で興味深く読ませていただきました。自分のケースに当てはまる話も数多く書かれていて、参考になりました。
その後も、調査を依頼する決意を固めるまで、高橋さんには何度か電話で妻の様子を報告し、アドバイスをいただいています。
調査を依頼する決意を固める
最終的に調査を依頼する決意が固まったのは、さまざまな状況から、妻が浮気をしていることがほぼ確実になり、しかも相手の男が、ほぼ間違いなく私の知り合いだったからです。
妻の素行調査を調査会社に依頼することに対して、私は、ある種の罪悪感を感じていました。そのような調査を依頼することが、夫婦の信義に反することのように思えたのです。夫婦の信義に反することをしているのは、妻のほうなのですが。
私のことをよく知っている男が、妻と不倫関係にある。
それは私にとって、感情的に絶対許せないことでした。
妻の素行を調査することについての罪悪感を乗り越えさせたのは、そのような絶対に許せない不倫関係に対する怒りと、その怒りから帰結した、離婚への固い決意でした。
たとえ離婚裁判になっても負けないようにするには、妻の不貞行為を証明する確実な証拠が必要です。確実な証拠に基づき、断固として離婚手続きを進める決心がついたからこそ、調査を依頼したのです。単に妻の浮気相手を知りたいだけでしたら、調査を依頼してはいませんでした。
電話を掛け日時を予約したうえで、もう一度訪問しました。
ただ2回目に訪問したときは、まだ契約書にサインせず、どのプランでお願いするかという相談だけをさせていただきました。最終的に契約書にサインして正式に調査をお願いしたのは、3回目の訪問のときでした。
最大4日間で合計25時間の調査をしていただけるプランを選びました。
調査料金は27万円(税抜)でした。
予算が許す範囲で、最も多くの回数の調査をお願いできるプランだったからです。
「離婚裁判になったとき、1回よりも複数回の不貞行為の証拠があったほうが、継続性を示せるという意味で有利」と高橋さんに聞いていましたので、できるだけ多くの調査をお願いしたいと考えていました。
しかもうちの場合、妻が相手の男と会う日時を事前に推定するのが難しい状況でした。せっかく調査してもらっても、現場をおさえられない可能性が大きかったのです。
ですから、調査回数を多めにする必要がありました。
SECTION2
調査1回目
まず高橋さんのアドバイスで、妻の生活パターンを把握することに努めました。何回か日中こっそり自宅に帰り、妻がいるかいないかをチェックしました。妻が出かけるときは、いつもと様子が違う出かけ方をするときがないかを観察しました。こうして、相手の男と会う確率の高い曜日を絞り込みました。さらに「今度一緒にランチに行こう。都合が悪い日はある?」と妻に聞くことで、相手の男と会う日を推測しました。
結果的には、1回目の調査は外れでした。
当日は、調査員の方から「今どこそこで、どういうメンバーと何をしています」という感じで、逐一報告の電話が掛かってきました。
1回目の調査のときは、今日は相手の男とは会わないということが、比較的早くわかりました。その段階で、その日の調査の終了をお願いしました。
調査員の方からも、「調査を続けますか?」と逐一電話で確認していただきました。無駄な調査時間を使わずに済むように、気を配っていただいていると感じました。
もちろん話しました。結果的に調査が無駄になったことについての精神的なフォローや、2回目の調査日時を決めるにあたってのアドバイスなどをいただきました。
調査2回目
妻に、「夜出かけたい日があったら前もって言ってくれれば、仕事の都合をつけて早く帰って、子供の面倒をみるよ」と言いました。いわば妻をわなに掛けて、調査してもらったのです。しかし2回目の調査のときも、妻は女友達と飲みに行っただけでした。
2回連続で調査が外れだったので、私もだいぶあせり始めました。
「もしかすると相手の男と会うんじゃないか」と思う日があっても、また外れることが怖くて、調査をお願いするのを見送ることが続きました。そうやって調査を見送り続けることで、ますます気持ちが苦しくなっていきました。
昼間一人で考えていると本当に辛くなってきて、この頃は高橋さんに何度も電話させていただいています。高橋さんには、精神的にずいぶん支えてもらいました。
調査3回目
「たまには昼間一緒に買い物に行こう。都合の悪い日はある?」と妻に聞いて、妻が日中に相手の男と会う可能性が高い日を探りました。
この頃には、相手と推定される男が、二人に絞られていました。どちらの男がそうなのか、私はまだ迷っていたのですが、高橋さんに相談すると、「こちらの男性の可能性が高いです」と一人に絞ってくれました。
たまたまスケジュールがわかる男でしたので、その男がオフの日で、かつ妻が「日中都合が悪い」と言った日に、調査をお願いしました。
このときはじめて、相手の男と会っている現場をおさえることができました。
「男性と二人で車に乗って、今ホテルに入ったところです」という電話が、高橋さんからありました。
調査員の方からではなく、高橋さんを通して連絡が来たのは、私がショックを受けることを気づかってくれたのだと思います。
はい。妻が浮気していることは確証されましたが、調査時間は残っています。離婚裁判になったとき負けないためには、証拠は多い方が有利です。もう一度、浮気の現場をおさえる必要がありました。ですから、家では引き続き何も知らないような顔をして、妻との生活を続けなければなりません。むしろ妻が相手の男と会い続けるように、努力しなければなりません。
高橋さんからは、その辛い努力を続けていくことについて、アドバイスと励ましをいただきました。私も、ここは腹をくくることに決めました。
調査4回目
その日は妻が当日になって「今夜外出したい」と言ってきました。相手の男のスケジュールからいって、そのあとしばらくは会えなくなるはずでしたので、今日は会う可能性が高いと思いました。
高橋さんに電話すると、日中の調査が早く終われば、調査員の方がぎりぎり間に合うとのことでした。調査は基本的に前もって予約する必要があるのですが、その日はなんとか当日にお願いすることができました。高橋さんの指示で妻に電話を掛け、「帰宅が遅くなるので、外出する時間をちょっと遅らせてほしい」と頼みました。夜、家の前で調査員の方と待ち合わせて、私が帰宅するのと入れ違いに外出した妻を、追ってもらいました。
しばらくして、妻が相手の男とホテルに入ったという連絡が、調査員の方からありました。お願いした4回の調査がこれですべて終わり、計2回の浮気現場をおさえることができました。
報告書の受け渡し
事務所を訪れ、高橋さんから直接受け取りました。
報告書には、ホテルに車で出入りする妻と男の写真が、何枚も貼り付けられていました。また、そのときの二人を撮影したビデオも見せてもらいました。
想像していた通りとはいえ、二人の表情や動きを写真や映像で見ると、やはり改めて、心に沸き起こってくるものがありました。
まず、妻にどう切り出すかを相談しました。
妻と別れるという私の決意は変わりませんでしたので、妻に全面的に責任を認めさせ、有無を言わさず離婚を承諾させる切り出し方を、一緒に考えてもらいました。
それから、相手の男への責任の取らせ方についても相談しました。
当初は私もかなり感情的になっていましたから、相手の職場に怒鳴り込むとか、不倫の事実を世間に広めて相手の社会的地位を失わるといった、かなり乱暴な報復の仕方を思い描いてもいました。
私のこともよく知っている男だっただけに、許せないという感情も、それだけ大きかったのです。
しかし高橋さんは、「そういう感情的なやり方をしても、結局は田中さんが傷つくだけです」と諭してくれました。
法律的に実効性のある形で慰謝料を請求し、相手の男には金銭的な形で痛みを覚えさせる。相手から取った慰謝料は、私が受けた傷を癒すために使う。そういう責任の取らせ方が、長い目で見て一番私のためになると教えてくれました。請求する慰謝料の金額についても、アドバイスしてくれました。
相手の男と会って決着を付けたいという私の気持ちが強いことを知ると、必ず二人きりで会うように勧めてくれました。相手の男の家族や同僚に不倫の事実を隠しておいたほうが、慰謝料について交渉するうえで、有利になるからです。
また、相手と話し合って決めたことは、公証役場できちんと公正証書にするようにアドバイスしてくれました。相手にあとで言い逃れをさせないようにするためです。
妻との対決
その日は子供たちを私の実家に預け、「ひさしぶりに夫婦で晩飯を食べに行こう」と妻を誘いました。
「どうせ外に行くなら、あなたの仕事場のほうに行こうか?」と妻が言うのを、「着替えたいから、一回帰るよ」と止め、家で妻を待たせておきました。
家に帰ると、「実は今日は、晩飯は行かないから」と妻に伝え、「おまえ、そこに座れよ」と言いました。
そこでもう、わかったみたいですね。
妻の顔色がサッと変わって、「はい」って言いましたから。
ふだんそんな返事することないんですよ。
そこで相手の男との関係について問いただすと、最初は否定しようとしました。でももう、無理でしたね。いつもの彼女じゃありませんでした。敬語でしたし。
あぁ人間ってこうなるんだって、どこかで冷静に観察している自分がいました。
泣き崩れる妻に「離婚だからな」と言って離婚届を渡し、その場でサインをさせました。
妻のほうから、反論らしい反論はありませんでした。
子供たちの親権についても、すべて私の判断に任せるという形で委ねてきました。
そうですね。
いいえ。調査会社を利用したことすら、妻には言っていません。「何月何日にホテルで会っただろう」みたいなことも、いっさい言ってません。
妻は私の態度を見ただけで、「これはもう言い逃れできない」と観念したようです。
調査員の方には、ホテルに出入りする二人の、有無をいわさぬ証拠写真を撮っていただきました。ホテルの出入り時刻まで記載された、完璧な調査報告書を作成していただきました。だからこそ、妻に対する私の態度に、自信がみなぎっていたんだと思います。
その場合は、しらをきり通されていた可能性が大きいと思います。
相手男性との対決
妻に離婚を伝えてから間もなく、相手の男から、謝罪の電話が掛かってきました。
「電話で長々と謝罪されても仕方ない。とりあえず会って決着をつけよう」と、そのときは伝えました。会う日時と場所は、後日メールで決めました。
はい。
とりあえず向こうから、改めて謝罪がありました。
いろいろなことを質問したと思います。
どうしてこういうことになったのかとか。
二人で会うきっかけになった出来事とか。
そういうことを、すごく冷静に、淡々と質問しました。
それから、相手に対して私が最初どのような感情を抱いたか。
今はどういう感情でいるか。
どのようにしてそのような感情に至ったか。
そういうことも、淡々と説明しました。
しませんでした。
自分なりにいろいろ考えた末、そのような態度を選びました。
最初妻と話したときは、私も相当憤慨していましたし、「相手の男のことは絶対に許さないから」ぐらいのことは言っていました。
それは向こうにも伝わっていたはずです。ですから私に怒鳴られたり、殴られたりぐらいのことは、向こうも覚悟していたと思います。
そのせいか、最後には相手から感謝の言葉もありました。「あなたは寛大な人ですね」と。
ここまで相手とは2回会い、毎回お互いの目を見ての話し合いをしています。
話し合いのたびに高橋さんにも報告し、アドバイスをいただいています。
今回の不倫の件を、私が相手の同僚や家族に漏らさないことを条件に、慰謝料として400万円を受け取ることで合意しました。
あとは支払い方法が決まり次第、二人で公証役場に行き、合意内容を公正証書にすることになっています。
高橋さんによると、交渉の仕方がまずければ、もっと安い慰謝料で合意させられる危険性もあったそうです。
たとえば、仮に私が最初に思い描いていたように、相手の職場に乗り込んで不倫の事実をバラすようなことをしていたら、相手はもう失うものがなくなります。そうなれば、相手が慰謝料の支払いに応じることもなかったでしょう。
高橋さんの緻密なアドバイスがあったからこそ、私も納得できる金額の慰謝料で、相手と合意できたと思っています。
SECTION3
現状
妻との話し合いを進めている段階です。
離婚の進め方についても、高橋さんにときどき電話で相談に乗ってもらっています。
まだこれから時間が掛かりそうです。
子供たちのこともありますし。離婚に関して気持ちが揺れることも、正直言ってあります。
離婚って、本当に難しいです。
評価
調査会社というと、依頼された調査を事務的に行うだけのようなイメージを持っていましたが、そのようなイメージとはまったく異なりました。
調査をお願いしたときは、まさかここまで親身に相談に乗っていただけるとは、想像もしていませんでした。本当に感謝しています。
もし仮に、私が最初に問い合わせた浮気調査会社に依頼していたら、浮気の証拠をおさえることさえ、できなかったかもしれません。うちの場合、妻の行動を予測するのがとても難しかったですから。調査日時を調査会社から事務的に決められてしまっていたら、妻が相手の男と会う日に、一度も当たらない可能性が高かったと思います。
調査してもらった内容は本当に男女のドロドロしたことなのですが、調査をしてもらった今の気持ちは、不思議とすがすがしいんです。
私にとって一番よい結果が得られるように、高橋さんがずっとサポートし続けてくれたからこそ、このようなすがすがしい気持ちになれたのだと思います。
私と同じ境遇を持った人には、間違いなく勧めます。
もちろん、実際に調査を依頼するかどうかは、自分がどのような解決を望むのかよく考えたうえで決めるべきですが。
もし知り合いから、配偶者の浮気疑惑について本気の相談を受けたら、私から高橋さんに直接連絡を入れると思います。
「こういう人がいます。高橋さん、相談に乗ってあげてください」って。
田中祐二さん、お忙しい中貴重なお話を
ありがとうございました。
- 取材:2010年6月 取材制作:佐々木 至